トラフグ|フグ科|旬:12月〜1月
天然トラフグを山形の名産に!
トラフグといえば山口県の下関が有名だが、日本海では秋田県の男鹿半島付近まで分布している。本県でも、2001年頃からトラフグ漁が行われるようになり、例年12〜2月頃にかけて旬を迎える。
しかし、トラフグは頑丈な歯を持ち、固い殻のある貝やカニなどもバリバリと噛み砕いて食べてしまう強者。普通の道具では噛み切られてしまい、釣り上げられない。そこで、高級魚のトラフグという、せっかくの資源を有効活用するため、漁師達は試行錯誤を重ね、ステンレス製のワイヤーを使った専用の道具を使うことで漁獲量を伸ばしていった。
釣ったトラフグは生簀で落ち着かせてから活魚出荷され、築地では取引価格の最高値を付けるなど、天然物として高い評価を得ている。
また、トラフグ漁の活性化に伴い、資源を増やすための稚魚放流も行っている。県栽培漁業センター(鶴岡市)では、5月頃に親魚から卵を採り、例年、8月頃までに約4cmに育て、漁師や地域の子どもたちの手で放流を行っている。本県のトラフグ放流はまだまだ始まったばかり。どれくらいの数を放流すれば、どのくらいの効果があるのか分かるように、釣った時に放流魚であることを判断するため、ヒレに目印を付けて放流し、釣れた魚の中の放流魚の数を調査するなど、漁師と漁協、水産試験場、行政機関が一緒になって研究を進めている。
トラフグ料理と言えば、何と言っても「てっさ」(ふぐ刺し)と呼ばれる薄造り。絶妙な歯ごたえと噛むほどににじみ出る旨みを堪能したい。冬が旬であることから、出汁の効いた「てっちり」(ふぐ鍋)で温まるのも良し。高価で、なかなか縁遠い食材かもしれないが、季節の贅沢として年に一度はふぐ料理を楽しんでみてはどうだろう。