漬物
彩りも豊かに勢ぞろい
おばあちゃんの味、おふくろの味、
古里の味
青菜漬
炊きたてのご飯と一緒に
青菜は高菜と同じアブラナ科の野菜だが一株500g、丈が70〜80cmと大きく幅広の葉と肉厚の茎が特徴で、シャキシャキした歯ざわりと独特の辛みを持つ。塩漬けした後一度ていねいに水洗いし、次に特製のタレ(醤油・鰹節・昆布など)に漬け込むという独特の製法で、山形を代表する冬の漬物。
赤かぶ漬
パリパリした食感と美しい色
赤かぶの皮は赤紫だが、中は白くてち密な肉質。一度塩漬けにしてから甘酢に漬け込むことで、鮮やかなピンク色に変わる。
赤かぶ漬けは、昔から甘酢のさっぱり感が好まれ、お茶請けや酒のつまみとして親しまれてきた。
わらびの一本漬
太いわらびを一本丸ごと!
山形県は日本一のわらび生産県でもある。収穫したものは新鮮なうちに塩蔵して長期保存するほか、漬物として楽しむのも独特の食文化である。一本30〜40cmの見事なわらびを灰汁抜きし丸ごと醤油漬に。味付けも上品で、おもてなしの一品にはもちろん、小さくカットして、山菜そばや山菜おこわ、混ぜご飯の具としても重宝する。
丸なす漬
パリッ!とした歯ざわりの一夜漬
ころんと丸くてかわいい丸なす。山形県では庄内地域の「民田なす」、置賜地域の「薄皮丸なす」等が有名で、古くから在来の品種として人々に愛されてきた。長なすのやわらかな食感とは異なり、パリッとした歯ざわりが好まれている。サッパリとした浅漬けのほか、糀漬や辛子漬などもあり、味のバリエーションが豊富。
雪菜のふすべ漬
米沢の珍しい在来野菜
雪菜は、収穫後雪の中で育てる珍しい野菜。雪の中で自身の葉を栄養源に生長し続け30cmほどになった黄白色の花茎を収穫する。ふすべる≠ニは熱湯にくぐすことを意味し、その後密封することがポイント。ピリリ!と爽やかな辛みが生まれ、これを浅漬けにしたのがふすべ漬。冬場の野菜不足に対応した生活の知恵でもある。
みょうがの甘酢漬
美しい色、サクサクの食感
みょうがの香りと歯ざわりを丸ごと甘酢漬にしたユニークな一品。最初に一週間ほどみょうがを塩漬けにし、水気が上がるまで重石をしっかりするのが美味しく仕上げるポイントで、その後は口の広いカメやビンに好みの甘酢と一緒に漬け込む。食感を楽しみながらそのまま食べるほか、サラダや麺類の薬味などにも使える。
ぺそら漬
独特の歯ごたえとピリリ!とした辛さでご飯がすすむ!
諸説紛々 世にも珍しいお漬物
誕生における諸説が豊富。「最上川の舟運栄し頃、京に向かった荷の中になすがあったが海水をかぶって脱色していた。食べたところうまかったことから誕生した」とか「ある家の嫁が洗い桶の中になすを入れっぱなしにして忘れてしまい、後で見たら色が抜けていた。試しに塩と唐辛子で漬けたらうまかった」とか。また、「最上川の氾濫でなす畑が水浸しに。脱色したなすがもったいなかったので塩と唐辛子で漬けた」という説もあるそうだ。
手間暇かけてこそ!の味わい
ぺそら漬の作り方は、新鮮な朝どりなすを水に浸け、一日一回水を替え、色抜きし塩と唐辛子で漬け込むことから始まる。その後2〜3日おきに水を替え、漬け替えるたびに徐々に塩と唐辛子の量を減らしながら10日ほどかけて漬ける。なすが漬け水から出ないよう落としぶたをするのがコツで、すっかり色が抜けたなすは、つやつやとした独特の色に仕上がる。色や味が薄いことをその地域の言葉で「ぺそらっとしている」ということから、「ぺそら漬」という名が付いたのではと言われる。
おみ漬
その昔、近江の商人が考えた…?近江漬がおみ漬けに
青菜漬から生まれたおみ漬
湯気の立つごはんと青菜漬は山形の冬の楽しみの一つ。
この青菜漬の応用編のようなものが「おみ漬」である。山形県民は青菜漬の、どちらかというと肉厚のシャキシャキとした茎の部分を好んで食べる。昔、山形に出入りしていた近江出身の商人が、残った青菜漬の葉先を見てもったいないと他の野菜と一緒に細かく刻んで漬物にしたのが「おみ漬(おうみ漬が転化したらしい)」の始まりと言われている。
揉んで漬ける揉み漬け≠ゥら?
だいこん・にんじんなどの野菜と青菜の葉を刻んで一緒に漬け込むもので、好みでしょうがやしその実などを入れることもあるのだが、それらを、味しみが良くなるよう揉みながら漬けたことから「揉み漬け=おみ漬け」になった…という別説もある。
おみ漬は、そのまま食べるのはもちろんのこと、おにぎり、茶漬け、チャーハンそして納豆と合わせてごはんにかけたり…と多彩なバリエーションで楽しむことができる漬物でもある。