さといも|収穫時期:9月〜12月
山形の名物料理
芋煮の主役「さといも」
バイオ技術が生んだ優良品
西村山発「つるり」
日本では縄文時代から栽培され、稲作以前の主食だったとされるさといも。山に自生するやまいもに対し、里で栽培するのでこの名が付いたようだ。
県内産は、ポピュラーな品種「土垂」が主流。小ぶりで味の良い子いもが出荷され、産地直売所などではごつごつとした親いもも見かける。
注目されるのが、西村山地域の新ブランド「つるり」。土垂の種芋を室内で培養増殖し、畑では苗から育てるという独自の栽培法で作る。これまでより早い9月に収穫できる。調理しても煮崩れせず、粘りや硬さ、甘みのバランスが良好。さらに貯蔵性に優れ、味が落ちないなど、消費者から好評を得ている。
伝統野菜「悪戸いも」と
「子姫芋」も人気
また、限られた地域で受け継がれた在来種も変わらぬ人気を誇る。
山形市西部の悪戸地区には、幻のさといもと評判の「悪戸いも」が伝わる。粘り気が強いが、舌触りはなめらかでとろけるような食感、長時間煮込んでも煮崩れしないなどの特長がある。
また寒河江市皿沼地区で、江戸末期から受け継ぐ「子姫芋」。福島県会津地方から、土垂系の種芋を取り寄せて始めたという。ねっとりとしてなめらか、さといも本来の味わいだ。以前は生産者が個別に種芋を保存していたが、近年生産者組合を組織して団結し、より良質の子姫芋作りを目指している。
* DATA *
主な産地
村山市・山形市・鶴岡市・寒河江市・新庄市・ほか