柿|収穫時期:10月〜11月
タネなしで
抜群に甘い「庄内柿」
渋柿の大王「平核無」の祖先は
新潟生まれ
風味が良く、甘みもたっぷりの四角い種なし柿──渋柿の大王といわれる「庄内柿」の正式な品種名は「平核無」。実は、ひょんなことから山形に根づいた。
1885年、鶴岡市の鈴木重光氏が、新潟の行商人から数種の苗木を購入して植えたところ、一本だけ種なし柿が実ったという。新潟で作られていた種なし柿の一種が混じっていたらしい。
1890年、知り合いの酒井調良氏がこの木をもらい受け、積極的に育て始めた。酒井氏は、庄内柿の栽培普及に大きく貢献したことから、庄内柿の父といわれ、その柿は一時、「調良柿」とも呼ばれた。1909年、酒井氏は渋抜きについて東京大学の原煕教授に相談する。その際、「平核無」との名前を受けたという。
大正時代には中央でも「種のない柿」としてPRされ、北海道向けにも大量に出荷された。
庄内柿の収穫は9月下旬から始まり、10月中〜下旬が最盛期。生産者は、専用のカラーチャートで色づきを確認しながら、ベストのタイミングを見計らって丁寧に収穫する。共同選果場では、光センサーを使ってサイズを計るなど手早く選別。その後、アルコールと炭酸ガスを併用した大規模な脱渋装置で、しっかりと渋を抜く。こうして、果汁も甘みもたっぷり、風味も優れた庄内柿が出荷されていくのだ。
さて、柿にはビタミンCが多く含まれ、大きめの柿なら、一個食べると一日に摂りたいビタミンCの量をほぼ満たす。そこで毎日の献立にも利用したい。たとえば豆腐を使った白あえ、柿のなま酢などはポピュラーな純和風料理。肉類と合わせる柿ソース、チーズや卵とのグラタンなど洋風料理も家族が喜ぶことうけあいだ。
種がないので安心してかぶりつける「庄内柿」。サクッとした歯ざわり、広がる甘さ…。
* DATA *
主な産地
鶴岡市・酒田市・上山市・寒河江市・遊佐町・ほか